前から思ってたけど、和田君は暗いわけでもなんでもない。


顔だって、怖いくらい整ってて、その辺の芸能人よりずっとかっこいいと思う。

中性的って言うか。

女の子みたいに、肌は白いし長いまつ毛に隠された大きな二重の奥は、真っ黒で。
まるで黒真珠。


キレイなのに……。




ジッと見つめていると、不意に和田君が振り向いた。



わッ!


本当に不意をつかれて、ビクリと小さく体が飛び跳ねた。




「運動神経と、弱いのは違うだろ?」

「え?」



和田君の顔が逆光になっていて、その表情がよくわからない。

首を傾げたあたしに、和田君が少しだけ微笑んだのがわかった。



「俺、体が弱いんだ。 子供の頃からよく病気して入退院繰り返してたし」


「……そうなの?」



そういえば

あの、夏合宿の時……
和田君に抱きしめられた時、まるで女の子みたいに細い体の線に驚いたっけ……。


あたしの顔をチラリと見て、和田君はまたフェンス越しに校庭に視線を落とした。




「今は割りといいけど。 学校は休んだことないよ。 クラスのヤツと関わらないのは、面倒だから」


「……憑依体質だから?」



「まあね」




素っ気なくそう言って、和田君は今度は体ごとあたしに向き合った。




「安達さ……」