「はははははッ」
「え……な……」
急に吹き出したかと思えば、体をくの字に曲げてお腹を抱えて笑い出した。
ヒーヒー言っちゃって。
下駄箱に片腕をついてないと、立ってられないほどなにかがおかしいらしい。
ポカンと口をあけっぱなしのあたしと、「大樹が壊れた……」って眉間にシワを寄せた奈々子。
「ははは……お、屋上にてって、果し状じゃん、これぇ。 なはははッ は、腹いてぇーッ」
目じりに溜まったらしい涙を指で拭うと、大樹はあたしに手紙を返してきた。
それに視線を落として、まだ笑いの収まらない大樹をジトッと見上げる。
「あー笑った」なんて言いながらようやく靴を履き替えてる大樹。
なぜか急に恥ずかしくなって、顔がシューっと火照りだす。
「そ、そんなに笑うことないでしょー!」
ほんと失礼なヤツだなッ!
大げさに大股で歩きながら、あたしはさっさと大樹と奈々子を置いて教室に向かった。
「え……ユイ? まさか行くのか?」
「行くに決まってるでしょ! 大樹ってほんとに無神経ッ」
呆気にとられてる大樹の声に、あたしは吐き捨てるように答えると階段もドスドスと上がった。
教室ではすでに半分の生徒が来ていて、みんな最後の学祭を盛り上げるために準備を進めていた。
「おはよー。ユイも来たんだね。 ちょうどよかった。 こっち手伝ってくんない?」
「おはよ。 うん、いいよー」
あたしは机に鞄をかけると、せっせと裁縫をするクラスメイトの元へ向かった。
うちのクラスの出し物は……。
『コスプレ写真館』
カフェとか、お化け屋敷とか出たんだけど。
なんか記念に残る事がしたいってことで、写真館になったんだよね。
調子のいい男子が、ただの写真館じゃつまんないからって「コスプレ」がついたんだけど……。
イケるのか? これ……。
広げた布を眺めながら、うーんと首をひねってしまう。