水戸佑梨という人は、俺が思っていたよりも、いや、想像をはるかに超える美人だった。


大きくはないけど、クリッとした印象的な目。
形のいい唇と、白い肌。
黒いサラッとした髪の毛はひとつにまとめられていて、どこからどう見たって嫌だと言う男なんていないだろうという見た目。
薄化粧なのも好印象のひとつだった。


なんでこんな人が見合いなんてするんだ?
一番の疑問はそこだ。


簡単に名乗るだけの自己紹介を済ませたあと、彼女の視線が俺の全身を上から下まで確認したのが見えた。


あぁ、俺を査定してるってわけだ。
きっと俺と同じで、どんなショボい男が来るのかと危惧していたんだろう。
彼女の目にどう映ったかは知らないけど、そこまで酷くないだろ?と言ってやりたかった。


そうして、彼女と話しているうちに気がついた。
普通の会話は目を見て話してくるのに、不意に逸らす瞬間があることを。


嘘をつくときだ。


ツンとしている割りには分かりやすい子だな、と笑ってしまいそうになった。


どこまでが本当でどこからが嘘か、そこまではいまいち分からなかったものの。
ただ、とりあえず恋愛経験はゼロでは無さそうだ。


もしかして俺と同じパターンだったりして。
好きな人と『恋人』にはなれずに、好きな人の浮気相手ってことで満足したパターン。
満足っていう表現は合ってないんだけど。


だとしたら、彼女も相当ダメージを受けてるよなぁ。
だからこんなに冷めてるのかな。
笑っていてもどこか寂しそうで。
他人事のように自分のことを話して、ところどころ投げやりで。


俺に似てる。
話せば話すほど、面白いほどに彼女の返答が予測できて笑えた。