日が暮れて家に帰る途中、私は静かに想像してみた。

軽く挨拶を交わす程度の友人や、喧嘩ばかりの両親が居なくなること。

それはやっぱり、今とそれほど変わらないように思えて。

だけど気付いたこともある。

私に親友ができたり、両親が仲良くなったりしたら、私の気持ちは劇的に変わるだろうってこと。


なんだかつまらなくなって私はまたデジカメを空にかざした。

夜の空はただ画面を黒く塗り潰したみたいに区切られた。

不意に思い出す。

そう言えば、もう少しで奏次郎の個展が終わる。
奏次郎、遠くに行っちゃうんだ……