プカプカと白い煙りを吐き出す奏次郎。


「奏次郎は、恋人居るの?」

「ん?どうした、急に」


奏次郎は視線だけこちらに向けて聞いた。


「別に。ただ、写真を撮る時以外は誰を愛してるのかと思って」


私の言葉に奏次郎は薄く笑い、携帯用灰皿で煙草を揉み消す。

奏次郎は鞄を探り、私がさっき見付けた写真を取り出した。


「こいつ。撮影時以外の俺の愛情を独占してる女」


そう言った奏次郎の勝ち気な笑顔に、胸の奥がツキンと痛んだ。

私は多分羨ましかったんだ。
誇らしげに愛せる奏次郎が。
深く愛される奏次郎の恋人が。