私は説得をしようとする。固まったま

ま動けないけど。

 柊は泣きそうな顔で笑っていた。

 私はそんな柊を見るのが嫌で、必死に

叫んだ。

「義務って、何?好きな人と生きたくな

いの?柊、そんなの誰も望んでない!」

 柊はびくりと肩を震わせて、私を恐る

恐る見た。

 そして小さくつぶやいた。好きな人と

生きる、と。

 その小さな小さなつぶやきは、ちゃん

と私の耳に届いていた。

 柊の小さな手は、微かに震えながらも

私の方へ伸ばしていた。