その時、ふと誰かが手を掴んだ。

「っ、な・・・」

 振り向くと、同じ委員会の津切秋斗が

掴んでいた。

 秋斗は悔しそうな顔をして、かすかに

首を振った。

 元々口数は少ない男の子で、自分から

話そうとしないクールな性格な為、表情

を表に出さないが、今は違った。

 悔しそうな顔をしていた。

 止められないことは、分かっているの

だろう。

「・・・・止められない。止めては・・・

・・いけないんだ」

 目を伏せて、小さくそう言い放つ。

 小さな声だが、よく通る声。