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俺がアイツと出会ったのは高校ン時。一個下だったアイツは、当時俺の入っていたバレー部にマネージャーとしてやってきた。





「漣ユキです。マネージャー希望です。精一杯頑張るので、よろしくお願いします」




とても礼儀正しいやつだと思った。同級生の何人かは、可愛い可愛いと舞い上がっていて、まぁ確かに普通よりは可愛いかもしんない。


だけど、だけどだ。数日してから気付いた事があった。




「漣ー!!ドリンク!」

「はい」

「漣、お疲れ!!」

「ありがとうごさいます。先輩こそ、お疲れ様です」




コイツ表情筋どうした、どこ置いてきた。お母さんの腹の中か?

とにかく笑わないのだ。どんな時でも表情が変わることなく、淡々と喋るし反応する。





「なーなー、いずみん。漣どう思う?」

「あー、マネちゃんな。可愛い子。クールだよなぁ。ガード固いっつーか!でもそこが良い!」

「そーゆーもんか?てか狙ってんの?」

「あったりまえだろー!可愛い子は誰でも対象内!!」




あー、いずみんはこういう奴だった。


帰り道、いずみんこと和泉傑と新マネージャーの話をする。いずみんは、基本チャラチャラしてるけど根はすっげー良いやつ。




「そういや篠宮、お前また告られたらしいじゃん?ズルいぞこのやろー!!!」

「あでっ?!俺はエースだからな!!俺人気者ー」

「調子乗んじゃねーぞ!!!バカの癖に!!」

「バカ関係ねーだろ?!」




確かに、俺はそれなりにモテる方だと思う。部のエースだし、クラスでもムードメーカーな方だから、告白も少なくはない。別に自慢じゃねーよ?




「くっそー、俺だっていつか可愛い彼女ゲットすんだからな!!」

「へへっ、頑張れー」

「うっわ、その余裕面ムカツクー!!」

「何とでもいえー」




あ、そーいや漣ってやっぱモテんのかな?明日聞いてみっか。