結局亜希に言われるがままコーラにしてしまった。
要らないって言われたら、自分で飲めばいいよね。
そう思っていたのに、久田くんはやけに素直だった。


教室に着いた私は、隣の席でお弁当を食べている久田くんに声を掛ける。
亜希は頑張れ!と言わんばかりに、後ろから熱い視線を送ってきた。


「久田くんってさ、コーラ好き?」


「え、なんで?別に飲めなくはないけど」


「さっき自販機で一本当たったんだ!
だから、良かったら飲まないかなーって」


「ありがと」


少し冷たく感じたけど、それも久田くんなりの優しさだと思った。
話下手だけど、案外いい人なのかな?
コーラを受け取った久田くんが、おもむろに席を立つ。


「あのさ、どこで食べるの?」


「え!?」


「だから、俺の席で食べるんじゃないの?
食べるなら俺、席どけるけど」


あれ…
久田くんがだんだん夢の彼に似てきてる。
もしかして、これも夢…?

夢だと思い目をこするけど、夢ではなく現実だった。

優しくしたり、冷たくしたり、久田くんはツンデレなのかも。