マリオンはニヤリと笑みを浮かべる。

「どうした、掃除なんだろ?やれよ」

「……」

促されるまま、バニングはデッキブラシを手に掃除を始める。

軍に在籍中から、正義感の強いバニングと規律を守らないマリオンは反りが合わなかった。

黙々と掃除をするバニングに。

「バニング」

マリオンが声をかけた。

「相変わらず糞真面目な奴だ。どうして本気を出さない?ここの所長や看守に甘んじなきゃならねぇほど、テメェは弱くねぇだろう」

「…お前には関係のない事だ」

バニングは手を止める事なく、掃除を続ける。

グリーンベレーの同僚でありながら、バニングとマリオンは思想の違いから、決して相容れる事はなかった。

受刑者となった今も、それは変わらない。

マリオンの鋭い視線を浴びながら、バニングは掃除を済ませ、看守呼び出しのブザーを押す。

「おいバニング」

最後に一言、マリオンが声をかけた。

「刑務所(ここ)じゃあ俺がルールだ…よぉく覚えておけ…」