午後。

バニングは看守達に連行されて、第4独房棟へと向かった。

ここに至るまで、幾つもの特殊扉があった。

特殊合金で出来ていて、ロックは全て指紋と声紋認証。

限られた者しか入れない厳重な扉の奥。

そこには、昔ながらのいわゆる『鉄格子』があった。

だが、只の鉄格子ではない。

特殊扉の素材よりも高硬度の金属で作られており、おまけに電流が常時流されている。

中の囚人は、鉄格子に触れる事すらできない。

第4独房棟には、そんな独房が10部屋存在する。

…しかし10部屋の内、使用されているのは1部屋だけ。

他の囚人が、『彼』と同じ空間にいる事を頑なに拒んだのだ。

特別戦犯刑務所、最凶の囚人…。

「入れ」

看守達はバニングを棟内に入れると、外から厳重に施錠した。

有事の際も、犠牲者はバニングだけで済むようにである。