潤んだ瞳で名前を呼ばれる。甘えるようなその声に理性を失いそうになる。
「颯真、」
もう一度名前を呼ばれる。どうしようもない。俺は、彼女の手を取り一緒に寝室に向かった。
ベットにレナを寝かせ、その隣に自分も横になる。すると、それを待っていたかのようにレナが抱き付いてきた。
「颯真、颯真」
すがるように、ぎゅっと抱きついてきて。俺の名前を呼ぶレナ。
「大丈夫だから、目瞑ってろ」
俺は、ただその背中を落ち着かせるように優しくあやすように叩く。
恋人ではない。
身体を重ねるわけでもない。
ただ、漆黒の闇に染まるこの夜を一緒に過ごすだけの関係。俺と君だけの秘密事。