「大丈夫…?」


そっと南の横に腰をおろす。


「…あのときと同じだね…」


「…あのとき…? あ…、 確かにそうだね」


「健…、覚えてる?」


「もちろん。でも思い出したのはさっきだけど」


やっと分かった。…河原で泣いていたあの少女は南だったんだ。


なんでもっと早く気付かなかったんだろう。せっかく名前まで聞いていたのに。


今の僕にとっては、忘れちゃいけない、大切な記憶。これから先、ずっとね。


それにしても、僕は…、ずっと前から南を知っていたんだ。



「…あのときが初恋の始まりなの」



少し顔を赤らめながら、南がポツリと呟いた。