8:30。
教室内はにぎやかになり、いつもの光景になった。
だが、南はいない。
「何ボケーっとしてんだよっ!」
突然、関が僕の肩をバシっと叩いて席に座った。
「別にボケーっとなんかしてないよ。ちょっと考えてごとしていただけ」
「ほぉー。なるほどな」
「何がなるほどなんだよ」
「んなこと、だいたい分かるさ」
「じゃあ言ってみろよ」
「言わねー。数日もすれば分かることだろーしな!」
関はそう言うと、人差し指でのくいっと、僕の顔を南の机に向けた。
「な、何だよ」
「な? 居なかったり、無くなったりすると初めて分かるんだよ、その大切さが」
分かるようで、よく分からなかった。