詰まるような息を吐き出し

そっと呟いた

『ここ最近泣いてないなあ』



カンジョウヒョウゲン、上手くいかない

いつも笑顔の仮面

合わせて頷く

張り付いて居る



『ここ最近、疲れたなあ』

そう言いながら背中を丸める

仕事帰りのサラリーマン



頑張り過ぎるな、そう呟いて

そっと胸が軋む



ふんわりとコーヒーに広がって行くミルクの様な

温もりを求めていたのかも、



『そんなのクダラナイ』って言いながら



『一人が好きだって言う人間は』

いつかの誰かの言った言葉

『本当は一人が恐いのかも知れないね』

暗闇で沈むように

泳ぐ金魚 追い掛けて

すい、と泳ぐように駆けて行く



少し休んだらまた走れば良いよ



あの人に言ったのか

自らに問うたのか







すいすいすいと

泳ぐように駆けて行こう



少し溜め息つきながら

少し足を緩めながら

小さなことをかき集め
それを幸せと呼べたなら
もっと上手く笑えたかも、なんて
現実逃亡

そんなことしたって意味無いんだぜ?
ふと笑う死神の顔

いつだって
必ず見える
黒い十字架

自分を傷付けるのが自分なら
癒すことが出来るのも自分だろう
そんな上手くはいかない
その、考え

小さな幸せをかき集めたら
ほんとの笑顔で笑えるかな

途方もなく
希望だって幸せだって無いかのように見えて

だけど割とそばに居た
居て、くれていた



見えぬものがあるのなら
少し立ち止まってみたのなら
変わるものもあるのかな


さみしいんだ さみしいんだ
気付いて欲しいんだよ

そうやっていつでも欲しがり
繰り返してきた

こわいんだ こわいんだ
無理なんだよ
どうしても出てしまう
所詮全身棘だらけ


見失う見失う
いつだってそうやって繰り返してきた

それならいっそ

願うのに
出来ないそんな僕はチキン


オーディオから流れてくる音楽にいつだって身を任せ
くるまっては過ごした

分かって欲しい


分かってるんだホントは
いつも欲しがり強がり僕はチキン



さみしいんだ
さみしいんだよ



そっと溢した一言は
虚しく響く暗がりの中
『どうせなら』呼吸を止めてしまいたい
そう願った1秒手前
小さく光った灯

どうしても腕は止まらず
深く突きたてた
痛みが教える
ほんの少しの暖かさ

『自分の存在意義わからないの』
そう嘆いたのならば
悲観ととられるのだろうか
悲劇のヒロインぶってる?
そう言われるのだろうか

いつだって寂しさと狂気は相対するものなんだ
寂しいから込みあげて
痛みに触れて
少し落ち着く

『滑稽だ』
と言われても
止められることなんて出来なくて

いつかのミュージシャンが言った言葉
いつもそれだけが支えで

痛みを感じたらそしたらほんの少しだけ
その言葉に甘える

すがるように
いつだって

たった一つ絶対的に光る言葉


寂しいんだ
ただそれだけなんだ
どこまで貪欲なのかと
自分で自分を嘲笑う
せせら笑う

痛みを突きたてて
ふりかざし
ほんの少しの灯に依存する



出口はまだ見えぬ
遠い果て
ノートの端に書いて消した落書き
消えない跡を何度も消そうと
擦る 擦る

丸めたページ
見ないフリ
隠して
秘める
コイゴコロ

捨てられたらいいのにな
そう簡単に消えるものでもなくて

つぎはぎだらけの毎日が
繋いだ大きなランチョンマット

ごろりと寝転がれば
ふんわり日溜まり気分

―あぁずっとこうしていたいなぁ
嗚呼嗚呼嗚呼
笑うように歌って
歌うように飛びはねる

ちらりと見えた星を掴みたかった
手に入れようと望んだのに


丸めて捨てたノートの端を
拾い上げようとしたけれど

もう無理かもしれないな、
そんな風に頭をよぎる


日溜まりの中に居た
遠い昔のアルバム

いつか、いつか
また笑い合えるその日まで
空へと繋ぐ青の中
一面広がる曼陀羅萬寿
いつかの短い旅の中
僕らは出会い 恋をした

奏でる音色
思いに乗せ
響く歌声
連なる言葉

そっと目を閉じ奏でよう
とっておきのラブソング
願いを届け
思いを運ぶ

それは真の運命か
定められた宿命か



曼陀羅萬寿の花の中
僕らは出会い、恋をした
えぐられるようにして
微笑って見た空は
どこか痛々しくて
妙な程に感じた痛み

ミセナイ
イエナイ
そんなイタミは多すぎて

きらきら光る幻(まぼろし)に
いつしか重ねた思いは大きいようで
小さいような

ほんの一瞬
そんなマボロシ

ちょっとした幸せを
掻き集めるように
生きていけたら
どんなに幸せか

きらきらマボロシ
現(うつつ)な世を行く
きらきら輝る

マブシクヒカル
日陰に咲く向日葵を
愛しく思う
心が泣いた

少しのことでぐるぐると
強く揺さ振られる
心がナイタ

夕暮れ日だまり通り道
あの日の道を
けんけんぱ

遠回りをしてぐるりと回れば
逆上がり宇宙が僕に笑う

手を伸ばして日だまり掴んだ通り道
あぁそうなんだと
心がナイタ

日だまり夕暮れ通り道
君から幾つも幸せもらい


ありがとうと日だまりを
いつか渡せる日が来たら


夕暮れ日だまり帰り道
くるりと回ってけんけんぱ
目を閉じて
耳を閉じて

聞きたくなった鼓動があるよ
聞きたい声があるよ

灯台の灯りを探して
途方に暮れてどうしようもなくて
右手にランプ 左手に勇気
準備万端
満足かい?

螺旋に廻る階段を
上って昇ってのぼってノボッテ
閉じた耳の奥の奥
出会った輝きを知ったよ

手を伸ばし
高い灯台の上から見上げた一面の空
一等星
手の平掴んだ


ランプの中に火を灯し
まわってまわってまわって

『ノボロウ』