ぴゅーと風の音が鳴る

風魔法を生まれた時から得意な

雫は父譲りの能力で

眠りについた後に風の運ぶ音が

異常さを運んでいることに気づいた

父は雫より先に異常に気付いた様子で

既に母を起こし

雫に加護魔法を施す

「急いで、時間がない」

「お父さん?」

「いいか、雫。お父さんの教える通りにやるんだ」

父は真剣な顔で雫に逃げ道と

小さな子供には難しい魔法を教えこむ

「もう、すぐだ!後から父さんも行くから」

異常さに震えながら

父に押されて家を出た

母と聖も雫と一緒に出たはずなのに

振り向いたら

大きな爆音とともに

雫の記憶は一時とぎれ

気づけば

赤い炎と黒い煙しか

雫の目には映らなかった