「どうして?私、ヒスイのことが好きよ?」

「俺は…
なんで夜なのに芙蓉がこんな場所にいるんだよ?」

「散歩よ、たまにこの泉に来るの
ここは沢山の自然の声が聞こえるから」

にこっと笑う芙蓉の顔は確かに可愛い

「魔力持ちといっても、私は自然の声が聞こえるだけ。なんの役にも立たないわ」

いつも明るくおちゃらけた性格の芙蓉だが

真面目にしっとりと話すお嬢様らしい雰囲気もあるんだと

ヒスイは関心しながら話を聞く

「ヒスイ、その髪に肩の紋章の意味、私知ってる」

ヒスイは、ぱっと肩を隠す

「それは、とても大変な重いもの…」

芙蓉はヒスイとの距離を縮めてじっと目を見る

「私、ヒスイのことが好きよ
いずれ、その重みに向き合うことになったら
私は味方になるわ」

ぱっと芙蓉の表情が変わる

「だから、私と結婚し…」

「断る!!!」

芙蓉がいい終わる前にヒスイは秒速でプロポーズを断った

ヒスイが泉から上がると

金の髪に月の光が反射し

キラキラと輝いて見える

まだ泉に残っている芙蓉は

ヒスイの輝きに目を奪われていた

「何してんだよ、芙蓉!」

ヒスイにより差し出された手を取り

空には月が輝き

金の髪に宝石のような緑の瞳

水に濡れた白い肌

芙蓉は顔が真っ赤になりながら

ヒスイの手をとって泉から上がった