私は、勢いよく山に飛び込んだ。

私の周りの景色には、斜線が入っていくようだ。

時おり、襲いかかる烏天狗を刃の無い棟の方でなぎ倒すかのようにして、走り続けた。

罪なき烏天狗の悲鳴にも似た鳴き声にズキリと胸が痛み、耳を塞ぎたくなる。

それでも、この私の陰陽道魂を賭けたこの勝負、どうしても負けるわけにはいかなかった。

荒れる息と酷い山道で傷つけた足が悲鳴を上げ始めた時、目の前に道が開けた。

私の目に飛び込んできたのは、罪なき者、陰陽師と山天狗が互いに傷つけ合う地獄のような光景だった。

一瞬、息が苦しくなった。

〝罪人〟は、悪を斬り殺せなかった私だけ。

そして、清宮は…まだ来ていない。

私の勝ち…