バイクは山の麓までたどり着き、清宮は、ブレーキを踏んだ。

私は、バイクを降りて、ヘルメットを清宮に手渡した。

清宮は、バイクに括り付けてあった〝妖刀望月〟を手際良く取り外した。

私は、清宮から〝妖刀望月〟を受け取りながらその瞳を真剣に見つめた。

「ねぇ、清宮。お願いだから、今回だけは、本気で私と勝負して。」

清宮の瞳に戸惑いの色が浮かぶ。

「神崎、さっきからどうしたんだよ?俺ら、いつも本気で喧嘩しているはずなんだけど。」

「確かに、そうだったわね。」

私は、軽く笑い、刀を構える。

そして、声を大空に精一杯張り上げた。

「じゃ、いくよ。よーい、どん!」