プルルルル_プルルルル_プルルルル_





プルルッ…





何回かコールが鳴った。

そして、出た。

「はい?」

間違いなく今朝耳にした大和の声。

「酒井美和ですけど…」

「やっと掛けてくれたじゃん。」

「ごめんね。掛けるの遅くなって。」

「ううん。美和ちゃんなら掛けてくれると思ってた。」

「美和でいいよ。あたしも大和って呼ぶし。」

「わかった。」

何気なく話してたら30分ほど経っていた。

さっきまでなぜか緊張してあたしはいなくなっていた。

「じゃあそろそろ切るね。」

「おう。また明日な。」

「うん。バイバイ。」



電話を切った。

プープープー…とむなしい音が響くだけ。



なぜか、切なくなった。

なぜか、早く明日になってほしいと思った。

なぜか、早く学校に行きたいと思った。

なぜか、もっと電話してたいと思った。



寝る時にもう1度大和の顔を思い出した。

笑った顔であたしの名前を呼んだっけ。

あたしは自分がにやけていた事に気づかなかった。

あの日、小さな幸せが生まれた。