すると、あたしは左の方から視線を感じた。

目を向けてみるとそこにはどうみてもやんちゃな男が座っていた。

金色の髪。

耳にはピアスが3つほど。

腕にはブレスがじゃらじゃら。

見た感じ軽そうな奴。

「へえ…酒井美和ってゆうんだ。」

その男はそう言った。

「そうだけど、勝手に人の話聞くのやめてよ。」

「ごめーん☆」

絶対謝る気なしだと思った。

やっぱ見た目通り軽い奴。

「松村大和。」

「…へ?」

あたしは何を言ってるのかわからなくて変な声が出た。

「俺の名前。」

「あ、そうなんだ。」

この男は松村大和。

「大和でいいから。」

あたしの心臓は早くなっていた。

なぜだろう。

こんな軽い奴好きになんかなるわけない。

恋愛感情なんか生まれるわけない。

そう思っていたのに。

ただ…

まっすぐ見つめる瞳にドキッとした。

「これ俺の携番だから。いつでもいいから電話してきて。」

そう言って大和は携帯番号の書いた紙を渡してきた。

あたしはその紙を握り締めた。

強く強く…