「おい!ヴァンガード!」


「…な…なんじゃこりゃぁあぁあ!!」


後からクリスを追って来た二人の騎士は入って来た途端、目に飛び込んだあまりの衝撃にただ叫ぶしか出来なかった。


「頼む、本隊を呼んでくれ!」


クリスは二人に叫ぶ。


それと同時に肌で感じ取れる奇妙な悪寒が全身を駆け抜けた。


「…そんな事、させる訳ないだろう?」


将軍が口を開いた。


「こう言う場での暗殺のポイントは、密室を作るために出入口封鎖することなんだ」


その言葉にハッと気付き、大扉の上を見上げると、扉には暗殺者が張り付いていた。


それに気付いたクリスとルーシャが大声を張り上げる。


「逃げろ!」
「逃げて!」


天井から暗殺者が二人を目掛けて向かう。


クリスも刀に手をかけ、急いで助けに向かうが間に合いそうにない。


騎士の二人もその奇襲に、手元の剣を鞘から出すので精一杯だ。


諦めかけた時、暗殺者目掛けて移動する影が見えた。


その4つの影を一番見てきたクリスは、脚を止め、皮肉を言った。


「ったく…今月の時間厳守のモットーは何処に行ったんだ!」