アリスは急いで横たわるクリスに駆け寄る。


『クリス…クリス!!
 眼を覚ましてよ!!』


クリスの肩を掴んで、必死に呼び掛けるが、瞳を閉じた男からは反応が返って来ない。


『バカクリス…眼を開けてよ…』


アリスの蒼い髪がうなだれた首から揺れ落ちる。


その周りには、戦友達が何も言えずに立ち尽くしている。


『クリスくん…』


アスカとジェイナがその中に加わる。


『アスカ、診てやりなよ』


ジェイナの言葉にアスカが頷く。アリスの隣に座って、そのまま手をクリスにかざして口を閉ざす。


しばらくして、アスカは口を開いた。


『死んでいるとは言い切れない…
 まだ…魂がある』


『!!??』


『おい、じゃあ…』


レオンは驚きが隠せないのか、言葉に詰まる。それにアリスは強く頷いて、答えた。


『ルーシャならなんとかしてくれる』


女王・ルーシャに全てが委ねられる。


考え込む時間など必要なかった。一刻も早く、ルーシャの下へ。


全員が言葉にする事無く、同じ事を思い描き、先を見据えた。ヴァンガードの末裔が、再びその瞳を開くと、切に願って…。