『ありがと、ジェイナ』


『礼はいらないよ
 さっさとやっちまおう』


二人の魔女はもう一度戦闘態勢に入る。その相手は膝の土を払いながら立ち上がった。


それを見て拳をぎゅっと握る。


互いの闘気が頂点に達したとき、ジェンを呼ぶ声がした。


『ジェン・リンド…
 ルグランに帰るぞ』


復活した皇帝はアリスをその手から離すと、アリスに背を向け、小さな笑みを浮かべる。


『は』


ジェンは返事すると、いつの間にか皇帝の隣に跪いていた。


『…!!!』


決して視線を外さなかった二人の魔女は、この出来事に驚きを隠せなかった。


『まぁ、まだまだって事さ』


その表情を見るや、将軍は手をひらひらと振ってにこっと笑う。


『…いずれ殺してやろう
 アリス、また会おう』


将軍の隣で皇帝がそう言うと、ジェンの闇系譜なのか、漆黒の波動が二人を包み、この場に静寂をもたらして…消えた。