クリスの下に向かおうとする魔女ジェイナとアスカは、道を防ぐ敵将ジェン・リンドとの死闘を繰り広げていた。


魔女の頂点“十天”の称号を持つ2人と、先の聖蓮祭でルーシャを追い詰めかけた将軍の闘いは、両雄退かずに一進一退の攻防を繰り返す。


だがその死闘は、アリスの意外な行動で幕を降ろす。


その行動に将軍の身体が止まった瞬間に2人はクリスの倒れている所に向かった。


『あっ…コラ、待たないか』


ジェンが慌てた様子で右手を2人に向ける。


すかさずアスカが振り向き、印を結んだ。


『霊樹招来!!』


ジェンに無数の気の刃が降り注ぐ。


『おわっ』


ジェンは数多の刃の雨を軽快なステップでかわしながら、確実に一歩一歩アスカに近付いていく。


『なかなかだけど…
 まだまだ、だ』


『な!?』


アスカの魔法はジェンの拳圧の前に容易く崩れ去る。闇系譜の強さはわかっていても、一撃で粉砕されるような安い魔法は使っていない。


『眠りに就くかい?』


ドス黒い瘴気の炎に包まれた腕を振りかぶるジェンを目の前に、急に足がすくんでしまう。


『それはアンタだろ』


ジェンの頬にジェイナの強烈な飛び蹴りが入る。ジェンはそのまま吹き飛び、大地に叩きつけられた。