『遅い』


アリスが気付いた時には、軍神と謳われた男に既に刀を喉元に突き付けられていた。


『!』


即座に背を反らし、そのまま地を蹴って身体を翻しながら剣から逃れる。


ロックとレオンはアリスとすれ違う様に間合いを詰めて軍神に一撃を浴びせようとする。


『裁きの時を』


そう言って軍神が黒剣を薙ぎ払う。


2人はそれをた易く避けるが、避けた瞬間に眼前を剣閃のカーテンが広がった。


『な!!!』
『にっ!!??』


避ける事が出来ないまま2人は、剣を浴びる。


2人の回避から軍神へと向かうベクトルと剣閃が2人に向かうベクトルがぶつかり合った事が仇となり、剣撃は全てレオンとロックに刻まれた。


『ぐぁっ!』


アリスが地に脚をつけるまでの間に、2人は闘いの舞台から強制退出させられる。


その置き土産の様に、舞台は真紅の血が宙を舞った。


『くっ…!』


太刀を構えて大地を再び蹴り、一閃を刻むためにアリスが攻めに転じる。


古より復活した皇帝は再び剣を薙ぎ払うと、先程よりも大きな剣撃のカーテンを広げた。


アリスは浮いた脚をしっかりと大地に付け、今度は円舞曲を舞う様なステップで、高速剣を繰り出しながら軍神のカーテンを突破した。


『覚悟なさい』