男が5人の視界から消える。


瞬時にシュバルツが障壁を360°に展開する。シュバルツの狙い通り、その障壁に男がぶつかった。


『小癪!!!』


男が障壁を消そうとする。その正面にゼフィが拳を構える。


『ドラァ!!!!』


拳を障壁にぶつる。エズヴィア戦で鬼神兵をしとめたシュバルツとゼフィのコンボが男の腹部に重い衝撃を与える。男の身体は折れ、轟音と共に天に舞った。


『ぐっ!!!』


空で身体を捻り、体勢を整えようとする男の眼前に、印を結んだアルと十数本の槍を纏うレオンが現れる。


『残念ですね』


アルの微笑と同時に、ルーンの雷を宿した槍が男の四肢を貫いた。


レオンから繰り出された槍による慣性の力で、男は大地に急降下して行く。


落下点にはアリスが眼を閉じ、静かに佇んでいる。


男が丁度アリスの頭上数センチというところで、アリスは手にしていた2本の太刀を天へと斬りつけた。


『チェックメイトね』


言葉と同時に剣閃が閃く。その衝撃で男はジェンの足元まで吹き飛ばされた。


『…あらぁ
 君達…やるねぇ
 この人の事、知ってるの?』


ジェンが男が起き上がるのを支える。5人と2人の魔女はそれを終始見張っていた。


『敵…でしょ?』


アリスは緊張を解かないまま剣を構える。アルとシュバルツは倒れたままのクリスの元に駆け寄った。


『…この方は
 ディクセン・アズカルド=ルグランⅣ世
 かの有名な軍神だよ』