「Aブロック斎藤駿さん、小野啓介さんは、2番コートへ来てください」

招集アナウンスだ。もうすぐで駿先輩の試合が始まる。

対戦相手の小野啓介っていうひとは、前回の試合で駿先輩が負けた相手。

大丈夫。今回は勝てる。

だって、今まで真剣にやってきたもん。
それなら、絶対に小野くんに勝てるよね。

ただ、ただ駿先輩が勝つのを祈るだけ。


「優。大丈夫。駿は絶対勝ってくるから。」

「そうだよね…」


ピッ!

審判のホイッスルの合図で、試合は始まった。

駿先輩の真剣な瞳。

最初は駿先輩のサーブ。


パンッ!!

「ナイスサーブ!!」

石中テニス部全員の声だ。

あんまり声を出すと、コートの中のひとは集中力が欠けるらしいから、小声で応援をするしかない。

石中の人たちも応援に必死で。

私もそれに負けないくらい必死に祈ってて。


お願い。負けないで。負けないで。