「あれ、龍平の彼女?」
「違うよ。同じクラスの友達」
「またまたー」
彼のチームメイトがそう茶化すから、恥ずかしくてうつむく。
彼女だったらどんなにうれしいか。
「チョコちゃん、ごめん」
「ううん」
気まずくなった私を気遣ってくれる彼が「帰ろうか」と私を促すと……「龍平」と、彼を呼ぶ女の子の声。
「ん? 真夜(まよ)か。お疲れ」
「うん、お疲れさま。ねぇ、腰大丈夫なの?」
それはあの彼女だった。
真夜さんは、私のことなんて眼中にないという感じで、結城君と会話を続ける。
「まだ本調子じゃないけど、まぁ、頑張るよ」
結城君の前向きな言葉を聞けて、うれしかったけれど……。
「あっ、水筒忘れた。ちょっと待ってて」
彼は私にそう言うと、更衣室に戻っていってしまった。