しばらくすると、結城君のチームのジャージを着た人が何人も出たり入ったりして、やがてコーチに背負われた結城君が姿を現した。
この間は、抱えられながらも自分の足で歩いていたのに、歩くこともできなんだと、頭が真っ白になる。
「ゆう……」
声をかけようかと迷ったけれど、辛そうに顔をしかめている姿が目に入ってしまったから、できなかった。
そして、前回と同じように、そのまま玄関に横付けされた車に乗せられ、彼は去っていった。
【結城君が、ケガを悪化させちゃった】
すぐに理佐と泉にラインを入れると、ふたりとも驚いていた。
今日は復活の日になるはずだったのだから、無理もない。
それから競泳を見続ける気にもなれなくて、私も会場を後にした。
理佐が雄介君に探りを入れさせると言ってくれたから、連絡待ち。
でも家に帰ってもラインが来ない。