「そんなことより、理佐はどうなのよ」
「どうって?」
「とぼけちゃって。雄介君だよ!」
絶対両想いだと思うんだけど。
「そういえば泉、好きな男の子できたみたいだよ」
「ホント?」
うまく話をはぐらかされてしまった。
でも、恥ずかしがって言わないということは、きっと真剣なんだろう。
それから私は、こっそり結城君の練習を見にいく日が続いた。
練習が始まってから観客席に入り、終わる前に帰る。
それは真夜さんに気づかれない様にするためでもあったけれど、私は結城君が頑張る姿を見られるだけで満足だった。
「チョコちゃん、また来てくれてたよね」
それでも結城君はちゃんと気がついてくれていて、幸せだった。
「うん。腰の調子はどう?」
「なかなかね」