『……はあー、もう。
足早すぎんだよ馬鹿。』


聞き慣れた声に上を見上げれば、
怒ってるような困ってるような…
難しい顔をした圭太がいて。


「だって、不審者だと思うじゃん…」


私が不服そうに口を尖らせれば、


『すぐに後ろ振り向けば分かるでしょ』


圭太は、尖らせた唇を指で挟み込むようにむにゅっと掴んできた。