それから、ひとつき


「菊ちゃん!!お茶おかわり!!」

「はぁーい!ただいまお持ちします!!」



とある甘味屋


おかわりを要求したのは、沖田総司

菊ちゃんと呼ばれたのは、君菊

沖田の向かい側に座り、ムスッとしている

土方歳三



「おめぇ… 
謹慎中に楽しく働いてんじゃねぇよ」

「いいじゃないですか~
ね! 菊ちゃん!」

「ね! 沖田はん!」



容姿が良く、器量も良い、そして良く働く

甘味屋にすっかり馴染み

君菊目当ての客で、店は繁盛



「おめぇ… いいのか?」

「ん?」

「本職ほったらかしでいいのか?って聞いてんだ」

「なるようにしかならへん
戻れなんだら、それはそれで仕方のないことどす」

「随分あっさりしてるんですね?
芸事を極めるのに、苦労したでしょうに
僕は、君菊の菊ちゃんも好きだなぁ」

「沖田はんも、不思議なお人やなぁ」

「おめぇが一番不思議だよ!」

「へ?」

「土方さん自覚がないって恐ろしいですね」

「全くだ」




二人にジロジロ見られても、首を右に倒したまま


( やっぱり、かわってるなぁ~ )



他人事みたいに、二人を見つめ返す



君菊だった