山崎を水葬して、部屋で一人
三通の手紙とにらみ合う
一通目を開くと
〝しわしわはん 笑ってますか〟
二通目
〝もう一度、あなたと月が見たい〟
三通目
〝土方様
夫婦になりたいと言って貰えて
とても幸せでした
貴方が『嫁ぐ』という、私の嘘を信じてくれて
今日まで、貴方と共に生きてこれたこと
感謝致します
もしも、ご迷惑でなければ
これからも貴方と生きていたい
お嫌でしたら、どうかお忘れ下さい
しわしわはん 笑ってて下さい
お身体をお大事に
菊〟
三通目は、土方だけに宛てたものだった
(幸せに暮らしてんじゃねぇのかよ……)
まだ、君菊がこの世にいないなど
理解できなかった
(これからは、ずっと一緒だな……)
江戸に到着する頃
簪を懐に入れ、外に出た
素晴らしい青空に、思わず笑った
「生きてやろうじゃねぇか!!」
(嘘をついてでも、一緒に生きたかったんだろ?)
青空を見ると、君菊の笑った顔が浮かび
また、笑った
君菊が土方を助けた日から
丁度、三年後
土方が銃弾に倒れた
その服の内側には、簪があり
銃弾は、簪を貫いていた
服の上から、簪をなぞる
(君菊……守れなかった……ごめん)
『また、しわしわはんや!』
『君菊』
『皆、待ってますえ』
『おう 行こう』
おわり
三通の手紙とにらみ合う
一通目を開くと
〝しわしわはん 笑ってますか〟
二通目
〝もう一度、あなたと月が見たい〟
三通目
〝土方様
夫婦になりたいと言って貰えて
とても幸せでした
貴方が『嫁ぐ』という、私の嘘を信じてくれて
今日まで、貴方と共に生きてこれたこと
感謝致します
もしも、ご迷惑でなければ
これからも貴方と生きていたい
お嫌でしたら、どうかお忘れ下さい
しわしわはん 笑ってて下さい
お身体をお大事に
菊〟
三通目は、土方だけに宛てたものだった
(幸せに暮らしてんじゃねぇのかよ……)
まだ、君菊がこの世にいないなど
理解できなかった
(これからは、ずっと一緒だな……)
江戸に到着する頃
簪を懐に入れ、外に出た
素晴らしい青空に、思わず笑った
「生きてやろうじゃねぇか!!」
(嘘をついてでも、一緒に生きたかったんだろ?)
青空を見ると、君菊の笑った顔が浮かび
また、笑った
君菊が土方を助けた日から
丁度、三年後
土方が銃弾に倒れた
その服の内側には、簪があり
銃弾は、簪を貫いていた
服の上から、簪をなぞる
(君菊……守れなかった……ごめん)
『また、しわしわはんや!』
『君菊』
『皆、待ってますえ』
『おう 行こう』
おわり