山崎の案内により
到着した屋敷の周囲を固める

「土方さん 中は、かなり人が潜んでますね
女、子供は、いないようです」

「見張りだけの約束だろうが!!」

「見張りが、下調べをしとくのは私の所では
常識です!!」

「まあまあ お二人さん仲良くね!」

沖田が間に割って入り、収まったが


「帰れって!!」

「は?今更?帰りませんよ!」

「おめぇは、強えけど女だろ!!」

「女ですけど?なに?」


今度は、原田が間に入る


「あんまり騒ぐとバレるぞ?
良いじゃねぇか
自分の身くらい守るだろうし」

「原田ぁ~」

「僕も菊花が一緒なら、心強いですよ」

「はい!決まりですね!
私は、お兄ちゃんと屋敷に入ってますね」



君菊が素早く山崎のいる屋根上へ


「土方さん、心配なのはわかりますけど
菊花だって忍の中では、上に立つ身です
簡単に怪我とかしませんよ」

「おう!俺もそう思うぜ!
それに、新選組を頼ってくれたんだ
守りたいものがあるのは、菊花も同じだ」

「わあったよ!!行くぞ!!」


正面の門を突破して、屋敷に押し入った


すぐに乱闘が始まる



「捕縛優先だ!逃げられんじゃねぇぞ!!」


「沖田さん 凄っ!!」

天井裏で山崎と戦況を見守る


「そりゃ 組長で一番隊の隊長だからな」

(労咳だなんて、嘘みたい……)


「菊花 出番はなさそうだな」

「そうですね」



(え?あれ……)


「菊花!!」


山崎に止められつつ下に降り走った

屋敷に潜伏していた者を全員取り押さえた
はずだった



ドカッ



バーーーーーーーン!!!


銃を構えていた男を蹴ったが

同時に発砲された


銃弾は、君菊の右頬を少しかすめた









「おい!!」

「なんです?」

「だっ…大丈夫か?」

「かすり傷ですよ」


平然と言ってのける君菊を土方が

恐る恐る抱きしめた


「なに?」

「んっとに!!焦らすな!!
今、寿命が縮んだ!!おめぇのせいで
三年縮んだ!!」

「はぁ?逆でしょ?
銃弾に倒れるところを私が、三年伸ばしたの!!まったく気づいてなかったでしょ!」

「菊花、お手柄ですね!」

「ほら!沖田さんは、ちゃんとわかってる」

「なんで、三年なんだ?」

「さぁ?じゃあ、帰ります」

「副長 周辺調査ついでに送ってきます」




軽く屋根上に上がって、帰って行った





「僕らも帰りますよ!」





捕らえた者を奉行所も送り、屯所に戻った









(はあ~どうすりゃ
素直になれるんだ……)


助けられたことは、事実


礼すら言えないくらい、心配が勝った


自分の気持ちと裏腹に冷たい言葉を言ってしまうことが、気持ちが伝わらない原因だと自覚したものの




真っ直ぐに伝える方法が、わからなかった