しばらくして

隊士募集のため江戸に向かった

近藤 永倉 藤堂らが帰ってきた



歓迎の宴が開かれることとなったが



そこに君菊は、来なかった



山南の隣に座る明里に、土方が声を掛けた


「あいつ元気か?」

「あいつ?どなたはんどす?」

「明里、意地悪だなぁ~
土方君が気に掛けるのは、君菊しかいないだろ?」


(そう、あけすけに言われると
身も蓋もないんだが…)


ジトッと山南を見る


「それで、君菊はどうしてる?」

「それが… また、引き籠もってしもて
しばらく会っておらんのどす」

「しばらくってどれくれぇだ?」

「深雪太夫の亡くなったあと…」

「病気とかではないよね?」

「へえ… 与一はんに様子を聞いたら
どうも…与一はんも部屋に入れて貰えず
強引に入ると、殴られたそうで…ホホホッ」

「元気そうだな…」

「そうですねぇ~
しかし、落ち込んでいる訳でもないなら
一体どうしたんでしょうね」

「深雪は、上手に連れ出すんやけど
うちは、連れ出すのはどうも苦手で」






その夜




土方は、山崎に君菊の様子を見るように

指示した


と、いうのも


様子を聞いて欲しいと頼まれていたのに

大した情報がなく

山崎があんまりうるさかったので


「見て来りゃいいだろ!!!」


と、なったのだ











置屋の屋根に到着すると

少し物音を立てた


「烝か?」



山崎の思惑通り、すぐに与一が来た


「菊が引き籠もってるってきいてな
会えへんか?」

「……それは、無理そうやな」

「なんでや?」

「さぁ……全く、どうしたものか」



与一は、近頃の君菊の様子を話した



「駄目でもええ…会わしてくれへんか」


与一は、山崎を連れて、君菊の部屋へ


「菊 俺や
入ってええか?」

「あかん」





「ほな、話しよか」

「いやや」


「はぁ~どないしたんや?菊?」

「帰って!!」


結局


わけがわからないままだった








君菊は、大きくなったお腹を

隠せなくて困っていた









(お腹がこんなに大きくなるんやったら
小さいうちにどこかに行ったらよかった)




誰にも打ち明けられないままだった