「菊花 御所に侵入者が数名!!
どうしましょうか!!」

「鷹司邸へ追い込め
廻りを囲み、火をつけろ」

「!!!火は、なりません!!!」

「構わん!!責任は、私がとる!!
侵入者を生かしてはならん!!」

「!!!わっわかりました!!!」


横目で君菊の様子をチラリと見る

土方は、君菊の口調にいつもの訛りがない

から、とげとげしいのか?と考えつつ

君菊の判断が早く、指示が的確なことに

関心した


「闘いの途中でよそ見して、ずいぶんと
余裕なんですね?」

「なめんな
これくらいの敵で、やられるかよ!!」

「剣豪揃いの新選組ですものね
余裕そうだから
私は、そろそろ戻りますね」

そう言って、刀をそこらにポイ


「雑だな…」

「なにか?」

「菊花 気をつけろよ!」

「土方さんもね」



君菊が御所内に入るのを見届け



「何者だよ!?ったく!!どうなってんだ」
























「父上 勝負ありました」

「うむ ご苦労だったな
菊花… すまない…
其方に、また…人を斬らせてしまったな」

「仕方のないこと… 守る為です」

「しかし…」

「父上を守れなければ、生まれた意味がありません
父上が大切にされている
民を守れなければ、強くなった意味がありません」

「菊花… 其方は、女子としての幸せを
なぜ捨てた
私の選んだ徳川慶喜が、気に入らなかったのか?どうしてだ?」

「慶喜様にもきちんと詫びました
他に想い人がいます
ですが、その方と添い遂げることは
不可能です
私は、ひとりでいいのですよ
十分、幸せですから」


お腹の中に、その想い人の子がいるとは

言わなかった



父である孝明天皇に





自由を奪われる気がして、言えなかった







「では、帰りますね
お元気で…」

「菊花も、元気でな」