「ありがと、」
「うん。」
「ここ君の家だったんだ。」
「潰れて動けないアリスを運んであげたんだけど。」
「…も、申し訳ないのですが……昨日の経緯を教えてはくれませんかねぇ?」
ギロリとあたしのことを睨む。
イケメンだから更にその睨みは脅威を増す。
怖いよ。その顔怖いよ。
だって覚えてないんだからしょうがないじゃん!
むしゃくしゃした気持ちを抑え込むためにココアを一口飲む。
口に広がるカカオの風味、そして甘い誘惑にふにゃりと笑みがこもれてしまった。
「甘いの好き?」
「大好物。」
「一緒だ。」
「君も好きなの?」
「君じゃなくて俺は雪音。昨日はちゃんと呼んでくれたのに酷い。」
「っ、だ、だって昨日の記憶が無くて君、じゃなくて雪音のことも今知ったもんだから。」
「……もういい。結論から言うとヤった。」
「その結論が残酷過ぎる。」
どうして雪音と身体を交えることになったんだろう。あたしなんで雪音と知り合ったんだろう。
よく考えたら雪音に迷惑をかけてるのかもしれない。
お酒の力って怖い。
でも……昨日はそのお酒の力に頼りたくなってしまったんだ。
あの時のあたしは少しおかしかったかもしれない。
あたしらしくない。
こんな弱気な自分は嫌だ。
だってまだまだ若いんだから。