「環奈...ここに居たのか...」
「なんでっ....なんでいんの...グスン」
「なんでいんのって..好きな女のこと
探すのは当たり前だろ...心配した...」
そう言って有翔はしゃがみこんだ。
「は?..何言ってんの。..好きな女は..さっきの女でしょ?..グスン」
「はぁ?おめー何言ってんだよ..俺が好きなのはお前だから..」
「そうやって..そうやってふざけないでよ!
何が好きよ..さっきあの女とキスしてた癖に...!」
「だから..それは違うんだって..!」
「何が違うのよ..!..グスン
付き合ってるんでしょ?あの女の人と...グスン」
あぁ...あたしみじめだ..。
こんな男の前で泣くなんて...。
「だから付き合ってねぇって!
あの女は元カノで、でもあいつが諦めるの嫌だって言ってて..でもキスしたら諦めるとか言われて..でも俺嫌だったからさ、断ったんだよ..!そしたらあいつが急にしてきて、そこにお前がはちあわせて..」
「嘘つかないでよ!
あたし聞いたの..あの女の人が、有翔はあたしと付き合ってるって..ただの客の分際で有翔になれなれしくすんなって..。..グスン
だけどあたしあの女の前で泣きたくなくて..文句言ってやろうかと思ったけど..あたしそれどころじゃなくて..!」
ギュッ.........
「ごめん..。ほんっとにごめん...!
あいつが言ってたこと全部嘘だから..
俺は、..ほんとにお前だけが好きだから..
今すぐ俺のことを信じろって言っても無理かもしんねぇ..。
けど、..ゆっくりでもいいから...ゆっくりでもいいからさ、..お前のペースで俺のことを信じれるようになってほしい...。
それまで俺待ってるからさ..待ってるから..だから、お前が俺のことを信じれるようになって..俺と一緒に居たいって思うようになったらさ..
付き合ってほしい...。」
雨の音がうるさいはずなのに..
なのに、あたしには有翔の声しか聞こえてこなかった。
有翔も泣いてるのかな...?
震えてる..。
「もういいよ..。もういいから..謝んないで..。
有翔のこと、信じてるつもりはなかったけど...いつの間にか信じてた..。
だからあの女の人から有翔と付き合ってるって言われて..辛かった。
それなのに、もう一回信じろって言われてもすぐには無理だから...。
でも..すぐに信じるのは無理かもしんないけど..だけど、..有翔と一緒に居たい..有翔と一緒に居たいよ.....グスン」