険しい顔で晋平さんが座る席に戻る。



晋平さんは「まいったな」って顔で、自分の鼻の頭をポリポリと掻いた。



「なんであいつを俺に会わせたんですか?」



「うーん」と少し考えたあと、晋平さんが言った。



「ルキが厄介なことを企んでるって聞いてな。直接、七倉と話せば、丸く収まるんじゃないかと思ったけど、火に油だったな」



ははっと空笑いする晋平さん。



その頭部を本気でぶん殴りたい。



「笑い事じゃないんですけど」



あの目は本気だ。



本気で雛子ちゃんに何かする気だ。



「俺も出来るだけのことはする」



いつになく真剣な晋平さんの声。



「全てはバカなことをしたルキの責任だ。けどな七倉。あいつはマッシーにクラブで殴られた日から、仲間から弾き出されて、ライブやイベントにも呼ばれたくなった
居場所を失った人間の痛みは、失った者にしか分からない。
辛いもんだぜ。かつての仲間と笑い合えない日々は」