席を立ち、店を出ようとドアに手をかけた俺に、ルキは慌てて駆け寄って耳元で囁く。



「マッシーの妹と付き合ってんだって?」



雛子ちゃんのことを告げられ、ゾクリとする。



ハッとして振り向くと、ルキは勝ち誇ったように笑った。



「俺さ、皆が見てる前で俺を殴って恥をかかせて、未だに俺をクラブから締め出すマッシーのこと、恨んでんだよね。
ハル君が気持ち改めてくれなきゃ、彼女さん、どうなっちゃうか知らないよ」



全身に冷や水がかけられたみたいに動けない。



強張った表情のまま立ち尽くす俺の肩を2回叩いたルキは、



「ここの会計お願いね。ハルくん」



そう言って、店を出た。