目を覚ませば、私はベッドの上だった。
『ここ…は……』
「実杏!実杏!目を覚ましたのね!
3日も…目を覚まさないんだから」
泣きながら言う、お母さんの姿があった。
「松本先生、呼んでくるわね」
『うん…』
私…3日も眠ってたんだ…。
全身が痛かった。特に…右膝。
そんな違和感を抱いていた。
すると、松本先生と呼ばれる医者がきた。
「目を…覚ましてよかったよ。
大事な話があるんだけど、大丈夫かな?」
『はい…』
お医者さんはつらそうな顔をして話始めた。
「実杏ちゃんは階段から落ちたんだ。それは覚えてるかな?
全身はアザだらけ、頭を7針縫った。
そして…右膝の靭帯を損傷している。」
お母さんのすすり泣く声が聞こえた。
「手術で全力は尽くしたが…
もう走ることはできない」
私の思考は止まった。
走れない?どういうこと、
もう陸上出来ないってことなの。
私は…どうすればいいの?
『少し…一人になりたいです』
私の口からでた言葉はこれだけだった。