あの事件から7ヶ月…
私は入院したまま2年生を迎え、一度も学校に行かないまま、夏休みになった。
私は、心理カウンセラーを受けながらのリハビリだったので、中々退院できなかった。
そんな私にも、お母さんはいつも優しかった。
「実杏…話があるの」
『…なに? 』
「東京に…引っ越ししよ?」
『ど…して?』
「お父さんの転勤っていう理由もあるけど、新しいところで高校3年生からやり直そ?」
そうだ、私はお母さんにたくさん迷惑をかけてた。
『うん』
私には心残りがあった。
未来を傷つけたままで…
まりえ先輩にはありがとうも言えてない…
あ、手紙で残そう………
『お母さん…私レターセット買いに行きたい。
どうしても、自分で買いたい』
お母さんは驚いた顔をしていた。
「わかったわ、先生に許可もらってくるからね。」
それでもいつものように、優しく微笑んでくれた。