「おはよう!!遅くなってごめんな!今日はお前らに紹介したい奴がいるんだ。」
教室が一気にざわめく。
「…今日からこのクラスに入ります、長岡蓮(ながおかれん)です。よろしくお願いします。」
泣いてる…??
それが彼の第一印象。
実際泣いてるわけではないけれど、何故か私にはそう見えたのだ。
「じゃあー、席はあそこな!」
そこは私の斜め前の席だった。
SHRが終わると一斉に長岡くんの周りに人が集まる。
そして私はそんな人だかりから逃げるようにして鈴華の席に行った。
「…ねえ」
ふいに後ろから声がして振り返る。
「これ、君の?」
そう言って私の生徒手帳を差し出しているのは、転校してきたばかりの長岡くんだった。