『あっえっと…古賀先生に次使う資料を持ってきて欲しいって言われて…』

そういえば、あの資料はどこにいったんだろう…。
周りは、バラバラに散らばった資料ばかりだし…。
もちろん、棚の中には何も入ってない。

『あー。どこだろうな…ってこれどうしようか…。』

そっか。
これ、全部戻さないといけないんだ。

『私がやります!えっと…名前…』
『あー。俺は、名宮 修斗』
『名宮さん。私がやるので、戻って下さい。』

足の捻挫も、この状態になったのも、全部私のせいだ。
だからせめて、片付けは私がやりたい。
少しでも、恩返しとは言わないけど。
何か、返せたらいいなって思う。

『でも俺が、もうちょっと早く来てれば綾瀬さんを助けられたかもしれないし…。片付けも一緒にするよ。』


名宮さんはどこまでも優しい人だ。
今も、床に座って資料をまとめてる。

『ありがとう』

私がそう言うと、彼はにこっと笑って

『どういたしまして』

と言ってくれた。