『えっ?…あっはい。ありがとうございます。大丈夫です』

それまで、声をかけられているのに気がつかなかったのが恥ずかしくて、思わず下を向く。
その時、ふと目に入った彼の足。
右足が少し曲げられていて、左足に重心がかかっている。

『あっ!すみません。足…私のせいですよね。本当にすみませんでした…』

私は、ずっと頭を上下して謝った。
すると…

『ぷっ…あははーー…あーごめん…でも、おもしろくてっ…』

おもしろい…?
私がキョトンとしていると…。

『いやだって、このくらいのケガで、すっごい謝ってるんだもん。逆にこっちが申し訳ない気分になるよ』

『いえ!ケガをさせてしまったのは本当のことで…』

私がまた、険しい顔になると、それを見透かしているかのように…

『本当に大丈夫だよ。多分捻挫がなんかだと思うし。そんなに大したことじゃないから。』

『でも…』

『はい!この話はもう終わり!で、綾瀬さんは何取りに来たの?』

ん?!
なんで、私の名前知ってるんだろう…。