心春は差しだされた手をじっと見つめる。


「…………わたしがこの手を取ってもいいんでしょうか」


「いいに決まってるだろ。なんのための手だ」


どんな意味でそう聞いてきたのかわからないが、おそらく間違ってはいないはずだ、多分。蓮冬はそう自分に言い聞かせる。



「ーーそう、ですよね」


すっかり冷えきってしまった手を繋ぐ。お互いそれから何を話すわけでもなく、学園に着くまでの道中ずっと無言だった。



何を話せばいいのか、わからなかったからもしれない、ずっと無縁だったから。