少女は静かに微笑む。
「瞳、綺麗な氷蒼(アイスブルー)ですね」
綺麗だと言う者は今までもいたし、別に特別なことじゃない。なのに。なのにどうして、こんなにも心に響いて止まないのか。
「ーー名前。お前の名前はなんて言う?」
「あなたの名前も教えてくださいね、わたしは心春(こはる)です」
心春。この少女によく似合う名前だ。肩まで伸ばした桜色の髪に、淡い雰囲気がそう思わせるのかもしれない。
「オレは蓮冬(れんと)だ。よろしく」
「れんって呼んでもいいですか?」
「ああ。……そろそろ戻るぞ。妖精は寒さと暑いのは駄目なんだろ、これ」
自分の着ていた外套(がいとう)を心春に渡す。
「ありがとうございます」
「……風邪なんて引かれたら困るだけだ」
蓮冬と心春は学園に向かって歩き始める。妖精は寒さと暑さに弱く、飛ぶことすらもできない。特別な詩を覚えれば加護が得られるらしいが、今の少女には到底無理だろう。ぎこちない歩き方を見兼ねて手を差しだす。
「瞳、綺麗な氷蒼(アイスブルー)ですね」
綺麗だと言う者は今までもいたし、別に特別なことじゃない。なのに。なのにどうして、こんなにも心に響いて止まないのか。
「ーー名前。お前の名前はなんて言う?」
「あなたの名前も教えてくださいね、わたしは心春(こはる)です」
心春。この少女によく似合う名前だ。肩まで伸ばした桜色の髪に、淡い雰囲気がそう思わせるのかもしれない。
「オレは蓮冬(れんと)だ。よろしく」
「れんって呼んでもいいですか?」
「ああ。……そろそろ戻るぞ。妖精は寒さと暑いのは駄目なんだろ、これ」
自分の着ていた外套(がいとう)を心春に渡す。
「ありがとうございます」
「……風邪なんて引かれたら困るだけだ」
蓮冬と心春は学園に向かって歩き始める。妖精は寒さと暑さに弱く、飛ぶことすらもできない。特別な詩を覚えれば加護が得られるらしいが、今の少女には到底無理だろう。ぎこちない歩き方を見兼ねて手を差しだす。