私は黒瀬琴梨。文武両道、容姿端麗、成績優秀、と思われている。
何度も言われた鬱陶しい言葉。私はそんなに綺麗じゃない。優秀じゃない。
 はっきりいうと相当な問題児だ。そのおかげでいくつもの学校を渡り歩いた。それでもどこへ行っても、成績はトップだった。
 本当に薄っぺらい人生だ。語るにしても100文字もたないだろう。なんで、生まれてきたんだろうか。

「黒瀬琴梨で〜す。よろしくお願いし〜ます!!」
 可愛く敬礼ポーズ。少しチャラめの挨拶の方が立場的に有利な事を何度も体験した。その上で編み出した¨控えめ可愛い‥挨拶。
 今まで何度も言ったこのセリフ。普通の人なら転校初日の挨拶で膝を震わせることだろう。だが、もうとっくに緊張や不安なんて感じない。


「琴梨ちゃんって〜、どっからきたのぉ〜?」
「琴梨ちゃん!今度あそぼ〜!」
「琴梨ちゃん超可愛い♥」

あぁ、うるさい。どこへ行っても猿は同じだな。学校は猿山か!?
頭が悪い奴ら、私と遊びたいならもっとまともになってこい!
 そんなことを思いながら、私はいつものスマイルをする。
「うん!いいよ!良かったらみんな友達になろ!」
 我ながら完璧だ。¨笑顔‥この武器さえあれば、私の薄い茶髪もメイクもアクセも誰も気にしない。
 むしろ怖そうに見える私に近づいて地位を上げようとしているように見えて、吐き気がする。

その時、教室の隅の席に座っている女の子に目がいった。
「真っ白、、」
「え?あ、あの子?真っ白でしょ??」
「なんで、あんな白いの?」
「多分聞いたことあると思うけどアルビノってわかる?」