「何、知ってんの?」
「あー。うん」
「ふうん」
「で?そのボタン、どうするの?」
「えっ、あ、あの、小野君が迷惑でなければつけてもいいかな…と思って」
「高田さんが?つけてくれんの?」
ちょっとだけ目を真ん丸にすると、小野君が驚いた声を出した。
「はい、迷惑じゃないなら」
「……」
再度、そう言うと小野君は黙り込む。
それから、急にカバンを床に置くと上着を脱ぎ始めた。
えっ。何。何。
突然の小野君の行動をただ目で追う事しか出来ずにいると、ばさりと私に小野君の上着がかぶさった。
ぎゅっとそれを握り締めながら、疑問をぶつけるように小野君を見上げる。